父の介護


父親がリハビリして退院したとき、これからどう生活していけばいいのかわからず途方に暮れた。父親と私の二人暮らしで近くに頼れるような親類もいない。とりあえず本やネットで情報を探して実践するしかなかった。リハビリの方法や食事法、運動法を素人ながらも取り入れて父親をサポートしはじめた。父親が毎日散歩するときには必ず付き添った。おっかなびっくり歩くのを見てこれから介護なんて本当にできるのかと不安はますます膨らんだ。
ある程度父親が回復して安心していたとき病気の再発が起こった。直ちに後悔に襲われた。今までの対策が間違っていたのか。もっと口出ししたり病気の兆候をチェックしたほうがよかったのではないか。何度も落ち込み自分を責めた。
幸い再発の後遺症はあまり見られなかったが実際に体の中がどうなっているかはMRIをとったとしても完全にはわからない。細かな喪失となれば機械で見極めるのは困難だ。
それから病気の原因と思われる心房細動を焼き切る手術をした。この手術の手続きで父親が今までとは別の病院に入院したが慣れないことばかりだったので右往左往していた。
介護をちゃんとしなければと力んで冷静に考えられないなか本当の意味で助けになったのは市の高齢福祉課の職員だったりケアマネージャーさんだったり本人の力強さだったりした。
自分自身の情けなさにため息をつくことも多かったが次第に本人を信じて支え、時に意見を言うことぐらいしかできないと悟った。主役は父親本人だと割り切って粘り強く取り組んでいくしかないと腹をくくることができた気がする。
現在はある程度本人は元気になったが細かいサポートはいる。役に立てているのかはわからない。ただあとで悔いを残さないためにもできる限りのことをできる範囲でやっていくことが大事なのだと思う。


(茨城県・Y.G/男性)