私と祖父を繋げる手紙


「脳梗塞の後遺症で、上手く話すことができない」電話の向こうから聞こえた、おじいちゃんの悲しそうな声。
「どうやったらおじいちゃん、前みたいに楽しくお話をすることができるかな?」その声を聞いて、真剣に考えた。
けれど、何も案は浮かばなかった。深く悩み、考えた末に「手紙でやり取りをすること」を思いついた。
手紙なら、自分の頭でゆっくり考えて、時間をかけて相手に自分の気持ちを伝えることができる。
電話だと、瞬時に相手の話を理解しないといけない。少し耳の遠くなったおじいちゃんには、とても辛いことだ。
「今度、手紙を書いて送るね」そう言って、電話を切った。手元には、一枚の白い便せんが。
でも、何から書き始めれば良いんだろう?ひとつも言葉が思い浮かばない。
「おじいちゃん、庭で野菜が取れたら、また送ってね。食べるのを楽しみにしているよ」
数分ほど考えた後、このような文章を綴った。
「お手紙ありがとう。大根とニンジンができたので、今度送ります」
数日後、おじいちゃんから手紙が届いた。
今までわたしは、わたしのことしか考えていなかった。だけど、それをやめて、おじいちゃんのことを考えるようになったら、
以前より明るく幸せな日々を過ごせるようになった。今後も、おじいちゃんと手紙のやり取りを続けていきたい。
次に手紙を書く時は、何を書こうかな。


(愛知県・K.H/20代・女性)