後悔してもしきれない思い


他県に住む母が、転倒し骨折。そこから私の介護生活が始まった。父が亡くなって以来20年間独り暮らしをしていた母をうちに呼び寄せたときは、また元気になって自分の家に帰れると思っていた。ところが自由気ままに暮らしていた母は、糖尿病がかなり進んで病気のデパート状態だったのだ。
おしゃれで快活だった母が、痛い、痛いと骨折した腰を痛がり、歩けなくなり、無気力になってしまった。そんな母を何とか良くしようと毎日通院に付き添い、24時間体制で介護するうち、私の方が介護うつになってしまっていた。頑張っても頑張っても坂道を転がるように、糖尿病の合併症を発病し、認知症も進んでいく母の姿は、辛く悲しいものだった。なぜもっと早い段階で、気づいてあげられなかったのか。離れて暮らしていたとは言え、月に一度程度はうちに遊びに来ていたし、電話でもしょっちゅう話をしていたのに。ちゃんと糖尿病の治療をしていると言う母の言葉を迂闊にも信じこんでしまっていた。そして、母は心不全で他界。喜寿を一年過ぎたばかりだった。もっともっと長生きしてほしかったのに。離れて暮らしても家族として、ちゃんと見守るべきであった。後悔してもしきれない思いを抱えたまま、12年が過ぎようとしている。


(広島県・Y.O/女性)