お父さんの精神介護


僕は肉体介護は、大してしていないが、十年ほど前から、認知症のお父さんに対し、精神介護をしてきた。例えば認知症で知的能力も、意志の力も衰えたお父さんに、お母さんはそれをサボっているとか、悪いことをしているんやと思い込んで、口によって激しく批判、非難して、振り回した。それに対し、喩えそれがお父さんの方が間違ったことを言い、お母さんの方が筋の通ったことを言っていても、いつも口でやり込められるのはお父さんなのでかわいそうに思い、お父さんの側にたち、助けてやった。だから今でもそういう苦しそうに話をまとめようとし、自分が口で勝つことより、家族が円満になればそれで良いとする姿を思い出すと、涙を禁じ得ない。だからといってお母さんが悪いわけでなく、お母さんの頑張りがなかったらうちの家はないことも確かだ。
しかしお父さんを認知症に追い込んだのはお母さんのマシンガンのような口の攻撃によるところが大きいと思う。
お父さん、お母さんの問題点を言ったが、お父さん、お母さんをここまで追い込んだのも、僕がやらかしてきた様々な問題がお父さん、お母さんの間の事情に影を落としたのだと思う。
それだから今度は僕が力を振り絞ってお父さん、お母さんを助けてやらねばならないと思う。某宗教団体に入る僕は、お父さんとお母さんを成仏(この世に執着を残さず、仏となること)させる。それが僕の願いであり、祈りである。


(大阪府・M.T/男性)