お母さん、ガンバレ!


百歳の母が庭の桜を見ていて転び、股関節を骨折した。介護ベッドでの寝たきりの毎日になると、急に体力気力共に萎えてきた。
女房はリュウマチで力が入らないので私が紙おむつを替えようとすると、母は凄く嫌がった。仕方がないので私が後ろから抱きかかえ、女房が紙おむつを替えた。
私は気がつかなかった。紙おむつの替え方が下手だからではない。母は、おばあちゃんではなかったのだ。一人の女性だったのだ。
私は嬉しく思い、心の中で叫んだ。「お母さん、女のプライドは捨てるなよ。その意気だ。ガンバレ!」


(山梨県・G.A/男性)