質素な生活でゆとりを残す


人類の発達のあり方は、全体的かつ恒久的でなければなりませ ん。一部だけが栄えたり、将来滅んだりしてはいけないからです。 そのためには次のような考え方で、日々の生活を送るべきだと考え ます。
まず、一時的に華々しい生活をすることは慎まなければなりませ ん。例えば商売がうまくいって儲かると、すぐに派手な生活をする人がいますが、往々にして長続きしないものです。
特定のグループの利益を優先して、それ以外の人々を苦しめるようなことをしてはいけません。そうした利己的な姿勢は、社会の全体的な発達を阻害するでしょう。
ある事業の中で、さらにその一部分だけに力を入れ、それ以外を 顧みないようなことをしたら、結局は事業全体がダメになってしま います。常に全体を考え、全体が発展しながら永続する方法を探っ ていくのです。
人が住んだり働いたりする建物は、安全を確保するためにしっか りとつくらなければなりませんが、それ以外の部分は質素な生活を 心がけます。そうして金銭にも心身にもゆとりを残すのです。これ を生産的な活動に注ぎ込めば、一人ひとりがさらに成長し、社会全体も発展させることができるはずです。


出典:「三方よし」の人間学廣池千九郎の教え105選