公平を貫きつつ、円満を保つ


すべての人や物事に対して公平であることは大切です。特定の人 物をえこひいきして、他の人を差別するようなことは絶対にしてはいけません。また、何か自分に都合がよいものを特に重んじて、それ以外のものを軽んじてもいけません。

何が正しくて、何が正しくないかを判断するときも、「こちらのほうが自分にとって都合がよいから」などと考えてはいけません。 必ず公平な条件のもとに、公平な判断を下すのです。

相手の正・不正の判断には公平を期しますが、不正であるという判断のもとにこれを正そうとする際も、できるだけ相手を傷つけないようにしなければなりません。たとえどんな悪事であっても、それを注意する際には、他の誰にもわからないように、密かに本人に伝えます。そうした思いやりの心をもって円満な関係を維持しながら、相手の心を救っていくのです。

正義を振りかざし、人の悪事を声高に世間に向かって叫ぶのは、 相手の心を深く傷つけることによって、自分が快感を得ているだけにすぎません。そうした行動は、人の心を傷つけ、反発を招くだけであり、それによって自分の心もまた荒んでいくことになります。

公平でありつつ、円満も保つようにするのが、本当に相手のためを思った指導といえるのではないでしょうか。


出典:「三方よし」の人間学