誠を尽くすということ


あらゆる場面において、徹底して誠を尽くしていく――この姿勢を保つことが何よりも尊いのではないでしょうか。誠とは真心であり、いつわりのない美しい心であり、相手を思いやる誠意であるといってよいでしょう。

私たちは、何を行うにもただただ相手に対する誠意を尽くし、真心を込めて取り組みたいものです。何らかの利益を自分に誘導しようとして、形式的に「よいこと」を行ってはなりません。何ら見返りを求めない真っ白な心で世のため人のために尽くしてこそ、私たちが知らない間に犯してきた過去の過失を償うことができるだけでなく、自分自身の人格が磨かれ、より完成した人間に近づくことができるのです。

道徳的行為を行う方法もまた、とことんまで誠を尽くしたあり方でなければなりません。すなわち、時代や時機、場所、場合、相手の立場や状態などを十分に考慮し、優しく、温かく、謙虚な心で接するのです。そうした心を相手に移し植えることによって、最大の効果を得ることができます。また、思うような結果が得られなかった場合も決して相手を責めることなく、自分の誠意が足りなかったことを反省し、相手の幸せを祈るように努めたいものです。 動機、目的、方法のすべてにおいて誠を尽くしていくのです。


出典:「三方よし」の人間学