品性を高めると幸福が得られる


道徳的基準や道徳的価値という面から見た人の性質や性格のことを「品性」といいます。これは人間の持つさまざまな力の中心に合って、それらを有効に働かせるもので、人間にとって最も大切で必ず身につけなければならないものといえます。
諸聖人から最高レベルの道徳を学び、実践することで、少しずつ品性は育っていきます。そして品性こそが、真の利益をもたらしてくれるのです。

ところが一般的には、品性の価値に気付かず、学力や知力、権力、財産、腕力などを身につけなければいけないと考える人が多いようです。
その上で、自分や家族、あるいは所属する組織や団体のため、自分の部下などのために働きつつ、日々の暮らしを営んでいます。そうした人たちは、時に成功し、時に失敗しながら人生を歩んでいきます。味方もでき、愛されもしますが、敵もでき、憎まれもします。
いろいろな苦悩を味わいながら、やがては学力も知力も権力も財力も腕力も失って、寂しい気持ちで世をさらなければならない場合もあるでしょう。

偉大な聖人の生き方に学び、品性を高めた人には、一般的な精神的苦悩を乗り越える道が開けます。ストレスがなくなることで肉体も健康になり、家族やコミュニティも含めて、皆が幸福でいられるようになるのです。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選