「恩」とは何か


「恩人」「恩恵」「恩に着る」「恩を売る」「恩に掛ける」「恩を仇で返す」「恩知らず」など、私たちの生活の中には「恩」のつく言葉がたくさんあります。

そもそも「恩」には、どのような意味があるのでしょうか。

辞書には「他の人から与えられるめぐみ。いつくしみ。また、自分のためになされたありがたい行為」(『大辞林』三省堂)とあります。また、「恩」は「因」と「心」という漢字で構成されます。因には「わけ、もと、ちなみ」の意味がありますので、それ に心が加わると、「原因を心にとどめる」といった意味になるでしょう。仏教でも「恩とは、何がなされ、今日の状態の原因は何であるかを心に深く考えること」(『佛教語大 「辞典』東京書籍)と述べられています。

つまり「恩」とは、現在起こっている出来事の原因や物の成り立ちに気づき、ありがたさを感じることといえるでしょう。

(四三八号)


出典:ニューモラル-心を育てる言葉366日