相手の欠点を感謝しながら補う


「誰にでも欠点はあります。周囲の人の欠点が原因となって、何かしら迷惑を被ることもあるでしょう。反対に、自分の欠点が原因となって、誰かに迷惑をかけているかもしれません。そう考えればお 互い様ともいえますが、世の中にはいろいろな人がいて、利害が衝 突し、関係がぎくしゃくすることがあります。

例えば他人の欠点に対して、厳しく追及する人がいます。周囲の 人たちにもその欠点を暴露して、言葉や態度で攻撃を加えるのです。しかし、いくら欠点があるからといって、人に対してそこまで辛く当たる必要があるのでしょうか。ひどく相手の心を傷つけるだけで、人間関係は悪化していくばかりです。

あるいは、やむを得ず誰かの欠点を補ってあげたとしましょう。 例えば、仕事が丁寧な代わりに遅いという欠点があり、期限に間に合わなくなりそうな同僚を手伝う、といった場合がこれに当たりま す。手伝いはしたものの、余分な残業が増えたことで腹を立てたり、同僚の仕事の遅さに不平や不満を言っているようでは、せっか くの善行が善行でなくなってしまいます。

道徳的な対応においては、まず他人の欠点を人に話すことはしま せん。さらに相手の欠点に対してできる範囲で補いながら、自らの 成長の糧として感謝すれば、それは徳として蓄積されます。


出典:「三方よし」の人間学廣池千九郎の教え105選