国があることの幸せ


麗澤大学で教鞭を執る竹原 茂 氏(旧名=ウドム・ラタナヴォン)は、祖国ラオスの革命により亡命を余儀なくされた後、難民として数々の苦難を味わい、悩んだ末に日本国籍を取得しました。竹原氏は言います。「国家が崩壊すると、国籍もなくなり、住むべき場所も失います。国籍がないということは、戸籍登録さえ受け付けてもらえないということを意味するのです。渡航証明書をもらって外国で生活をしていても、国の信用が落ちているので、その国の国民というだけで信頼してくれず、就職するときにも条件が不利になってしまいます。(中略)祖国を失ってみて、私は国家の恩恵を いっそう強く感じるようになりました」(『ラオス・日本、アジアに生きる』麗澤大学出版会)。 「私たちはふだん、国の存在をさほど意識せずに生活していますが、竹原氏の言葉は「自分の国があることの幸せ」を教えてくれるのではないでしょうか。


出典:ニューモラル 心を育てる言葉 366日