自分の力以上の無理をしない


事業を成功させようと思うのなら、人類の進化の原理に従い、利己心から脱却して、社会の役に立つ仕事を始めるべきです。そうした事業の中から、利益は自然に生まれてくるものです。
まずはよい品物をつくることです。そしてそれにふさわしい価格をつけます。そのうえで商品の美点を顧客に説明し、じっくりと腰 を据えて商売をしていくのです。
無理をして自己資金以上の事業を始めたり、むやみに拡大しようとしてはいけません。売れる当てもないのに約束手形を振り出して商品を大量に仕入れたり、成功するかどうかわからない新規事業のために大きな借金をしたりするのもよくありません。広告宣伝にばかり力を入れたり、やたらと景品をつけて売り出したりするのも感心できません。また投機にも手を出すべきではありません。
とにかく「無理」をしてはいけません。自分の力以上のことをしようとすると、必ずどこかで失敗し、人に迷惑をかけ、自分自身も傷ついてしまいます。そんな商売には慈悲もなく、誠実さもなく、まさしく不道徳な事業といわざるを得ません。) 事業活動は「持久戦」です。一足飛びに伸ばすと、後で必ずしっぺ返しがあります。日々実力を蓄えながら、あくまでも道徳に基づ いた健全な経営に徹していくのです。

 


出典:「三方よし」の人間学廣池千九郎の教え105選