自分勝手な思いやり


私たちは、それぞれ異なった立場や境遇に身を置いており、物事の見方や考え方にも大きな違いがあります。

ところが日常生活では、ややもするとその事実を忘れ、自分本位の考えで物事を判断して、自分がよいと思ったことを他の人に強く勧めてしまう場合があります。そうなると、せっかくの善意も押し付けがましく受け取られたり、かえって相手に迷惑や不快感を与えたりすることにもなりかねません。

それは「困っている人を助けたい」という思いに駆られて行動するとき、特に起きやすいことではないでしょうか。とりわけ介護や看護をはじめとするケア(お世話)を行う際や、悲しみや苦しみの中にある人と関わるときは、一度立ち止まり、相手の気持ちや状況に対して十分に思いをめぐらすことを心がけたいものです。(五〇九号)


出典:ニューモラル-心を育てる言葉366日