強く非難せず、真心で導く


不正や過失を犯した人に対して、どのように接し、どのように導 いていけばよいのでしょうか。
通常、他人の不正や過失を見つけたら、直ちに本人に忠告したり、同じ組織に所属していたら上司や同僚に報告したりするでしょ う。もしもそれが犯罪行為であるなら、警察に通報することもあり得ます。何らかの方法で世間一般に公表してしまう人もいるでしょう。そして相手を非難したり、攻撃をして強く反省を促したり、態度を改めさせようとするのです。
しかし、いくら自分に非があるからといって、そんなふうに扱われた人間はどう反応するでしょうか。おそらく深く傷つき、反省するどころか、反発心を抱くこともあるはずです。反発されるのは、 非難したり、反省させようとしている人間の心が高慢になっていて、それが相手にも雰囲気で伝わってしまうからです。
道徳的な解決に導くためには、不正や過失を犯した人と相対する ときも、まず導こうとする側が自己反省をします。相手が過ちを犯す以前、その人に対して至らない態度をとっていなかったかどう か、自分を見つめ直すのです。そのうえで真心を込めて、相手を傷 つけないように配慮しながら、また相手と共感できる部分は共感し ながら、粘り強く導いていかなければなりません。


出典:「三方よし」の人間学廣池千九郎の教え105選