啐啄


「啐啄(そったく)」という言葉があります。卵の中で、今まさに生まれ出ようとするヒナは、内側から殻をつつきます。そのヒナの動きを感じた親鳥が、外からも殻をつついて、これを助けようとします。その内と外からつつくタイミングがうまく一致すると、殻が割れてヒナが無事に誕生するのです。それは、まさに「逃したらまたと得がたい絶好の機会」といえます。
私たちは毎日のようにさまざまな出会いを経験するものですが、人と人との出会いもまた、ただ相手と向かい合ったというだけでは「出会い」とはいえないのではないでしょうか。こちら側の心に「相手を受け入れる準備」が整っているだけでなく、そ れが相手側のタイミングともうまく合致したときにこそ、人生を変えるほどの出会いも生まれるのでしょう。


出典:ニューモラル 心を育てる言葉 366