心で数える一、二、三…


熟慮という言葉の「慮」の字は「おもんぱかる」と読み、「よくよく考える、思い めぐらす」という意味です。字源から見ると「心で考えて数える」(『字源辞典』角川書 店)となります。私たちは何か問題に直面したとき、「熟慮」できているでしょうか。 高ぶった感情を、そのまま他人にぶつけてしまっていることはないでしょ うか。
アメリカの情操教育では、「シックスセカンズ・ポーズ」という方法が用いられま す(参考=『EQこころの鍛え方』東洋経済新報社)。冷静さを失いそうになったら「一、 二、三、四、五、六」と、心の中で数を数えてみるというものです。この六秒が自分 と冷静に向き合う時間になり、高ぶった感情が少し落ち着いてくるのです。 責める心を他人に向ける前に、ひと呼吸置いて慮ってみる。そして、自分を振り返る。そうした心がけが、日々の人間関係を円滑なものにしていくのでしょう。


出典:ニューモラル 心を育てる言葉 366