社会全体の発展を期す


世の中全体の永続的な発展のためには、一時的な華々しさを求め たり、一部分だけ力を注いで他を顧みなかったりするようではいけ ません。 |
例えば大人数で広い場所を清掃していて、ある箇所にだけ人数が 集中すると、そこだけはきれいになるでしょうが、それ以外に手が行き届かなくなります。掃除をする場所全体の面積を考えて、力の 配分にも注意して計画を立てるべきです。 一つの地方自治体の中でも、都市部の整備にばかり税金を使い、過疎地域への支援をなおざりにするとしたら、都市だけが発展し続け、過疎地域はさらに疲弊してしまうでしょう。一部分の人たちだけに利益を与えて、他に苦しむ人がいるようでは、物事は円満に進みません。
個人の持てる力も、自分一人のためだけに使うのではなく、例えば自宅を建てるために注ぐ力などは多少抑えたうえで、その分を国家社会のために役立てていけるとしたら、どんなに素晴らしいことでしょうか。何を行うにも、永続と社会全体の幸福と発展を期していきたいものです。


出典:「三方よし」の人間学廣池千九郎の教え105選