聴き役に徹する


人は時として、思いがけない事故や病気、大切な人との別れなど、受け入れがたい大きな悲しみや苦しみに直面することがあります。

身近な人がその渦中にあるとき、なんとか慰め、励ましたい、と思ったとしても、 相手の気持ちや状況に対して十分な配慮をせずに性急な言葉をかけたり、自分の考えを押し付けたりしては、相手の心の傷をさらに深くすることにもなりかねません。

上智大学名誉教授のアルフォンス・デーケン氏は、こうしたときに肝心なことは 「相手が心を開いて自由に話せるように、聴き役に徹すること」であると述べています(『心を癒す言葉の花束』集英社新書)。

相手に寄り添い、その思いを受けとめて尊重し、共感しようとする心の姿勢があってこそ、相手の悲しみや苦しみをやわらげることができるのでしょう。


出典:ニューモラル 心を育てる言葉366日