意なく、必なく、固なく、我なし


『論語』の中に、「意なく、必なく、囲なく、我なし」という言葉があります。 「意」とは、自分の主観だけで判断すること。「必」とは、自分の考えを無理に押し通すこと。「固」とは、一つの判断に固執すること。そして「我」とは、自分の立場や都合だけを考えることです。

この言葉は、孔子の人格を端的に述べたもので、孔子には自分勝手な考え、無理押し、頑固さや、自分本位の意見や主義がなかったといいます。言い換えれば、広い視野に立って客観的に物事を判断し、他人の意見に十分に耳を傾け、すべてのことに広い心で柔軟に対応し、相手の立場を思いやって行動できる人間だったということです。

人は皆、それぞれの考え方を持っています。そうした「自分らしさ」を持ちつつも、 この言葉を「他を顧みない自分本位の心づかい」の戒めとしたいものです。


出典:ニューモラル 心を育てる言葉366日