心の絆を深める「ハレの日」


日本の伝統的な生活の中には、「ハレ」(晴れ)と「ケ」(褻)という概念があります。「ケ」とは「日常」を意味するものです。これに対して「ハレ」は、特別な儀礼・祭 礼・年中行事をはじめとする改まった状況、いわば「非日常」を意味します。

農耕民族である日本人は、黙々と労働にいそしんで生活の糧を得る中にも、お正月・ 節分・ひな祭り・端午の節句・お盆・お彼岸・大晦日など、四季折々の年中行事を「ハレの日」として祝ってきました。また、人が誕生してから亡くなるまでの間には、お宮参り・七五三・元服(成人)・結婚・還暦・その他の年祝いなど、数々の節目を迎えます。それらは単調になりがちな日常生活の「けじめ」になるだけでなく、家庭や地域社会などの集団において、心の絆を深める機会となっていたのではないでしょうか。そうした「節目」の意味を、あらためて見つめ直したいものです。

(五一九号)


出典:ニューモラル-心を育てる言葉366日