困難に遭うのは当然のこと


誠実な生き方を心がけているからといって、すぐに何もかもうまくいくわけではありません。私たちは過去、意識的にも無意識的にも、たくさんの過ちを犯しています。原因と結果の法則に従って、何らかの困難に遭遇することは、十分にあり得ます。

偉大な教えを残した諸聖人でさえ、さまざまな苦難に襲われ、辛酸をなめているのです。私たちが困難に遭うのも、当然のことといえます。訪れる困難に屈せず、誠実な生き方を貫いていけば、やがて幸福が訪れるはずです。

こうした生き方に関して、注意しておきたいことがあります。友人・知人から借金を申し込まれたり、借金の保証人になるよう頼まれたりすると、これも人助けだと思ってむやみに応じてしまう人がいます。しかし、世間には貸したお金を返してもらえなかったり、借金の肩代わりをさせられたりすることもあるのです。

そもそも、相手に明らかな努力不足や不正が認められる場合や、依存心の強い人に対しては、物質的に援助すべきではありません。むしろ本人を精神的に立ち直らせるほうが先決です。

反対に、精神的には何ら問題もなく立派な人が、たまたま物質的 に困っているときは、自分の力の及ぶ範囲で助けるようにします。その区別はきちんとしておいたほうがよいのです。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選