ところ変われば、見方も変わる


「会合を生ぜず」という諺があります。これはもともと、英国で「職を転々としている人は、地位も財産も成すことができない」という意味で使われていました。長い時間を経たからこそついた苔を、「よきもの」として解釈した諺です。

ところが米国では「常に活発に転がっていくものは、時代に取り残されることはない」という、まったく別な解釈がされています。ここでは苔を「取り去るべき古くさいもの」という、マイナスイメージでとらえているのです。

これは「苔」に対するとらえ方の違いから、一つの諺が正反対の意味を持った例です。同様に、私たちの周囲で起こる出来事には、それ自体には善悪がなくても、受けとめる私たちの心が善し悪しを決めていることもあるのではないでしょうか。自分の悩みも違う角度から眺めると、別のとらえ方ができるかもしれません。

(五〇五号)


出典:ニューモラル-心を育てる言葉366日