人は集まって影響を与え合う


人間は、小規模なものから大規模なものまで、さまざまな団体を構成しており、それによって社会が成り立っています。

なかでも「家庭」あるいは「国家」といった単位で考えるとき、これは遠い祖先の時代から深い縁で結ばれた人間の集まりであるといえます。家族が運命を共にするのと同じように、世界にはさまざまな国があり、それぞれが独自の文化を持ち、それぞれの国家体制の中で大きな意味での運命を共有しているのです。

また、同様の素質や関心を持った人たちも、それぞれの分野で団体を形成します。例えば学者の団体、企業経営者の団体、労働者の団体、スポーツ選手の団体、趣味の団体など、この世界にはありとあらゆる団体が存在しています。

人間が集まると互いに影響を与え合い、それが同じ方向を目指す同志であればなおのこと相乗効果が生まれます。優れた学者が集まって切磋琢磨すれば、学問は大いに進歩することでしょう。優れたスポーツ選手が集まって競い合えば、より高度な技術を身につけることができるでしょう。

大切なのは、常に自分自身の心を高めていくように努めることで す。これを怠ると、知らないうちに悪い仲間が近づき、影響を受けて、その同類となってしまいかねないからです。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選