家、国、人類の恩人に感謝する


私たちは人類の長い歴史の中のある時期に生まれ、やがて世を去っていきます。

私たちがこの社会の中で文化的な生活を営み、意義ある人生を送れるのは、先祖や、国家や、人類全体が何万年もかけて築き上げてきたものがあるからです。私たちは、この事実を心に刻み、感謝し、その恩に報い、自分が受け継いだものをより発展させて次代に継承していく義務を負っています。

ここでは、人類の生存や発達、安心、平和、幸福のために貢献してきた「人類共通の恩人の系列」であると考えてください。

「恩人」の中には歴史上の偉人も、また私たち自身の先祖も含まれていますが、大きく三つに分けて考えます。

一つは、人間生活の最小単 位である「家庭」を基盤として、私たちの生命を生み育んできた親祖先の存在。次に、社会の安定と秩序を保ち、私たちの生活を根底から支えている「国」の存在。そして、思想や哲学、道徳や宗教などを発展させ、精神生活の向上に貢献した諸聖人の系統です。

そうした恩に報いるため、親に対しては安心し満足してもらうように努めましょう。それぞれの立場で国家・社会を支え、国民の義務を果たしましょう。人の幸せを願い、日々、よりよい生き方を目指していきましょう。

もちろん、直接的にお世話になった人への感 謝・報恩も忘れてはいけません。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選