「おかげさま」の思いを生かす「恩送り」


昔から日本人は、人からお礼を言われると「お互いさまですから」と、つつましく答えていました。
また、物事が無事に終わると、謙虚に「おかげさまで」と感謝したものです。
人間は皆、互いに支え、支えられながら生活する存在であることを自覚していたからこその表現でしょう。

私たちが今日を迎えるまでには、どれだけ多くの人のお世話になったことでしょうか。その人たちに対する直接の「恩返し」はもちろん大切ですが、中には直接返すことのできない恩もあるでしょう。
そうしたときは、自分の受けた善意を別の人に「送る」ことです。
この「恩送り」ということを心に刻んで、周囲を見渡してみましょう。

お世話が必要な子供たちは「誰もが歩んできた道」、手助けを必要とするお年寄りは誰もがこれから歩む道」。
すべては「お互いさま」「おかげさま」なのです。

(四六四号)


出典:ニューモラル心を育てる言葉366日