モノに当たっていませんか?


自分の思うようにならない状況に直面して怒りや不満を覚えた経験は、誰にでもあるでしょう。しかし、その感情をどのように処理するかは人によって違います。高ぶった感情をそのまま言葉や態度に表す人。おもてにださず、自分の心の中で押し殺す人。中には、つい身近なモノに当たってしまう人もいるのではないでしょうか。

感情を持たないモノからは、どう扱っても反論は返ってきませんが、そもそもモノ自体に罪はありません。勝手な感情をぶつけるのは筋違いというものでしょう。

車や電話、靴、食器など、日ごろ使うモノに向けて、お世話になった人にするのと同じように「ありがとう」と声をかけてみましょう。それでモノが喜んだり元気になったりするわけではありませんが、自分自身の感情が引き出され、心が豊かになるのです。それを日々積み重ねるうちに、豊かな人間性が育まれていくのでしょう。

(四五八号)


出典:ニューモラル-心を育てる言葉366日