モラル
見返りを求めない心

「側隠の心は仁の端なり」という言葉があります。
人の苦境を見て惻(あわれ)隠(いた)む心、助けたいと思う心は、仁愛の心、慈愛の心の糸口であるという孟子の言葉です。
よちよち歩きの子供が川に落ちそうになっているのを見れば、われを忘れて駆け寄り、助けようとするものでしょう。
そのときの心は、お礼を言われたいとか、助けないと非難されるから、というものではありません。
まさに見返りを求めない心であり、慈愛の表れといってよいものです。
私たちは、誰もがこの慈愛の心を宿しています。
しかし現実には、人に優しく、親切にするよりも、自分にとって損か得かを考えて行動したり、
人を不公平に扱ったりすることが多いのではないでしょうか。
このように人の心には、よくも悪くもはたらくという二面性があります。
だからこそ、日々優しさを発揮し、慈愛の心を大きく育てていく必要があるのです。
出典:ニューモラル 心を育てる言葉 366日