人間が第一、事業は第二


道徳的な企業経営においては、人間を愛することを第一とし、事業を愛することを第二としなければなりません。
ところが現実には、事業や事物、会社そのものを第一に考えて、 人間、すなわちそこで働く従業員や取引先の方々のことを二番目以 降に考える経営者が少なからずいるようです。 事業こそが何よりも大切だという価値観のもと、劣悪な条件で従 業員を酷使したり、仕入れ先に厳しい要求をするなどして、ただただ自分の利益を追求し続けるのです。
従業員、取引先の人たちも、皆表向きはその経営者に対して頭を下げるかもしれません。しかし、自分たちよりも事業や会社や利益を優先して考える利己的な経営者のことを、誰も心から尊敬していません。ただその人が持っている財力と権力にへつらい、頭を下げているだけなのです。
そのような会社の従業員は、自分のことが第一で、会社のことは 二番目以降に考えるようになります。給料分だけ働こうという意識になり、全力を出し切らなくなるのです。
経営者が道徳的経営に目覚め、品性を高め、人間を愛することが第一で、事業を第二に考えるようになれば、従業員は会社を愛して全力を尽くし、業績も伸びていくことでしょう。

 


出典:「三方よし」の人間学廣池千九郎の教え105選