この広い世の中で家族になったのだから


私の友人は、年齢が上の方が多い。六十才を過ぎても年間スケジュールはうまっている。うめていると活発な人達である。その中のお一人は同居しているお嫁さんのことをあまり気に入らないらしく「料理がまずいし、気がきかない」から始まり、「あの嫁は私が早く死ぬように、死ねばいいと思っているんだ」とはき捨てるように言ったことがあり、私は「まァ、まァ」となだめていた。しかし、人生何があるかわからにとよく言われるが、その方が急に歩けなくなり、車イスの生活になられた。どうなることかと案じていたら、お嫁さんはよくできた人で赤子をなだめるように字を粉にしてつくし出した。
バラを見たいといえばお嫁さんは天気のよいカラリと晴れた日に望み通り連れていってくれる。今では「おかあちゃん」とよんで慕っている。「この広い世の中で家族になったのだから」と背中で語るお嫁さんはステキだと思う。


(埼玉県・H.H/女性)