「米一粒」でも積み重ねると


儒学者・新井白石(一六五七~一七二五)が少年のころのお話です。白石のお父さん は米櫃の中の米を一粒取ると、白石に「どこが減ったか、よく見るように」と言いました。しかし、減ったことさえ分かりません。そして、また一粒取ります。取っても取っても、米は減らないようです。そのとき、お父さんは言いました。「それでもこ れを一年ぐらい続けると、やはり米は減ったと分かるだろう。勉強も一日ぐらいさ ぼってもどうなるものでもないが、ずっと続けていると、ある日ふと、何か自分がだめになったな、と気づくものだ」と(参考=大村はま著『心のパン屋さん』筑摩書房)。

新年度を迎え、何か新しいことにチャレンジしたいと考える人も多いでしょう。一 つのことをやり遂げるには、何事も毎日少しずつ、努力を積み重ねていくことが大切 です。それぞれの目標に向かって、第一歩を踏み出してみませんか。 


出典:ニューモラル 心を育てる言葉 366