日常生活の中にある無駄


現代人は「多忙である」と感じている人が多いようです。自分や家族の生活を維持・向上させていくのがたいへんで、毎日の仕事に 追われています。そのため、生き方についてあらためて考えたり、 正しい人生観を学んだりする時間すらないと感じています。

ところが人の日常生活の中には、案外「無駄」が多く含まれてい ます。無益な娯楽に興じるなど、さほど意味があるとは思えないことに時間やお金を費やしてしまうことも少なくありません。暇さえ あれば他人の悪口を言っている人もいます。日々真面目に生活している人であっても、将来にわたって生活を安定させるのは簡単なこ とではありませんから、あえて道徳の勉強に取り組むことには躊躇 しがちです。

しかし、志の篤い人がひとたび優れた人生観を学んでこれを体得したら、その精神をもって他者の心を救っていくことが、楽しくて仕方がなくなるものです。当然、無益な娯楽や他人の悪口には関心がなくなります。そしてすべての言動を、人々の幸福や社会の平和のために振り向けるようになるでしょう。

他者の救済まではできなくとも、日頃から道徳的な言動を積み重ねていけば、より幸福になれるのは当然といえます。


出典:「三方よし」の人間学