行動・発言・心づかいを一致させる


毎日の生活の中で「行動」と「発言」と「心づかい」の三つを一 致させることが、私たちの生き方の問題として非常に重要です。行動・動作を表す「身」、発言・言語を表す「口」、心づかい・精神作 用を表す「意」の三文字を使って、「身口意一致」と表現することもあります。
例えば「やる」と口に出して言ったにもかかわらず、実際にそれをやらなかったら、行動と発言が一致しなかったことになります。そのような無責任な態度をとる人は、いずれ他人から信用されなくなるでしょう。そこで、日常的には発言と行動を一致させるという意味の「言行一致」という言葉がよく使われます。
しかし、行動と発言が一致しているだけでは、人として理想的な 態度とは必ずしもいえません。たとえ言うことと行うことが一致していたとしても、内心では嫌々行っていたり、恩を着せようとしていたり、見栄を張ろうとしていたらどうでしょう。そこには十分な「心づかい」がないといわざるをえません。
行動と、発言と、心づかいがすべて一致することによって、その行動には真心がこもります。また、自分の行動や発言にきちんと責任を果たそうとする意志も生まれます。すべてにおいて矛盾のない人格が形成されるということです。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選