「数え年」に込められた意味


年齢の数え方には、よく用いられる「満年齢」に対して、「数え年」というものもあります。「数え年」では、生まれたときを一歳と数え、その後は正月を迎えるたびに一つ年を加えていきます。これは「いのち」が母親の胎内に宿った時点を起点とし、胎内で過ごすとされる「十月十日」も含めて年齢を数えたものです。亡くなった人の年を表す「享年」とは「天から享けた年」の意味ですが、この場合も数え年を当てます。

また、日本では古来、正月に年神様をお迎えしてその御霊をいただくことにより、一つ年を取るという考え方をしてきました。神様から「いのち」をいただいて、感謝して一年を送るという生き方をしてきたのです。 今日では、「数え年」は神事や仏事などでしか使いませんが、「いのち」をどのように考えるかという点で、その意味をあらためて見直してみたいものです。

(四〇四号)


出典:ニューモラル-心を育てる言葉366日