団体のためになる行動


人は何らかの団体に所属して生活しています。家族をはじめとして、学校や会社、業界団体、地域の団体、政治団体、趣味のグループなど、形態や規模、活動内容にはさまざまなものがあるでしょう。何の組織にも属せず、家族もいないという人も、その国の国民という意味で、やはり団体の中に存在しているといえます。

多くの人たちが、自らが所属する団体の利益のために働こうとします。しかしそれは、真に「その団体のため」という心からではなく、利己心に基づいているケースも多いものです。団体に利益をもたらすことによって、他のメンバーから称賛されたり、自分自身が高い給料や地位などを得たりすることが目的になっているのです。

特に会社などでは、少しでも自分の評価を高めて給料を上げたいという思いから、だんだん無理をするようになり、最終的には会社に不利益がもたらされることもあります。急激に売上げを伸ばして、工場を増設した途端に販売不振に陥るような場合がそれにあたります。一時的に発展したように見えても、結局は悪い結果が出て しまうのです。

団体のためを思えば、「良薬は口に苦し」というように、メンバーから煙たがられるときもあるはずです。しかし、信念に基づく行動こそが団体の利益と発展、そして個人の幸福をもたらすのです。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選