必要なものほど手に入れやすい


この世界は、驚くほどうまくできています。それを私たちは日頃意識することがありません。まったく意識しないで済むほど、当たり前のように生活に溶け込んでいるからです。

例えば日光や水、空気、土壌などは、仮にそれがなくなれば、人間だけでなくあらゆる生物が生存できなくなるほど重要なものです。それほど重要であるにもかかわらず、私たちは普段の生活の中で、その恩恵を意識することがどれだけあるでしょうか。

「水や空気があることは当たり前だ」と思われる方もいるでしょう。しかし自然界がそういう構造になっていなかったら、私たちは片時も存在することはできなかったのです。現実にそういう状態をつくり出している「自然の法則」の偉大さを、思わずにはいられません。

衣食住の「衣」でいえば、絹よりもいっそう実用的な木綿のほうが、安価で大量生産され、手に入れやすくなっています。「食」についても、日常の主食となるものは、嗜好品の類より、比較的安く手に入るようになっているのではないでしょうか。

需要が高くて大量につくられるから安いともいえます。しかし、それに自然界が対応してくれていることを喜び、ありがたく受け取る気持ちを持つことも大切ではないでしょうか。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選