日を新たに


紀元前十六世紀ころの中国に殷(いん)という国がありました。その殷を開いた湯王(とうおう)は、顔を洗う盥(たらい)に、自分自身に対する戒めとして、「まことに日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」(『大学』)という言葉を彫りつけていたといいます。

湯王は、毎朝、手と顔を洗うように、自分の心も洗い清め、毎日毎日を心新たに生きようとしたのです。学ぶべきことは、日々、自分に言い聞かせたことでしょう。

 

風も雲も川の流れも、ひとところにとどまらず、絶えず動いているように、自然は躍動しています。自然の中に生き、生かされている人間もまた、ひとところにとどまることはないのです。年の初めにあたり、一日一日が、常に新しい出会いであると、心がけたいものです。


出典:ニューモラル 心を育てる言葉366