今日ただ今の心が「一大事」


人生は一見、単調なことの繰り返しのようにも思えますが、その一日一日は「繰り返しのきかない繰り返し」です。私たちの日常は決して華やかな場面ばかりではなく、むしろこまごまとした雑事のほうが多いものですが、だからといって雑にしてよいということではありません。「雑用」とは、人間が雑にすることで生じるものなのです。

私たちは、まだ来ぬ明日を頼んだり、また、時には二度と帰らない過去の栄光を懐かしんだりと、ともすると「今」という時を疎かにしがちではないでしょうか。

江戸時代の禅僧・白隠禅師の師匠であった正受老人は「一大事と申すは今日ただ今の心なり」という言葉を残しています。人生は結局、一日一日の積み重ねです。丹精込めて、一日一日を丁寧に生きるところに、「充実した人生」があるのではないでしょうか。


出典:ニューモラル「心を育てる言葉366日」