介護体験談


私の母は92歳。団地で一人暮らしをしている。最近物忘れがひどくなり、直前話していたことも忘れてしまう。何度も同じことを言うので、相手をする方はかなりのストレスだ。父も姑も認知症患って、最後の頃は私の顔もわからなくなってしまったので、母も同じ道を辿るのかと思うと、本当に辛く悲しい。ストレスでいがきりきり痛む。夜も眠れない日々が続いていた。

救いは団地の3階住まいのおかげか、足腰がいたって丈夫な事だ。医者までの片道1時間を平気で歩いてしまう健脚ぶりだ。今までそれを当たり前と思っていたが、人に話すと皆一様に、それはすごい!とびっくりする。それを聞いているうちに、だんだん考えが変わってきた。母は確かに物忘れはひどいかもしれないが、まだまだやれる事はたくさん残っている。できないことばかりに目を向けて嘆くより、まだできることに感謝し、心から喜んでいこうと。

よく子育ては自分育てと言うが、介護もまた自分を育て磨くチャンスなのではないかと思う。母は今までオリンピックまでは頑張ると言っていたが、最近では95歳までは大丈夫だよ!と言い出した。私はそれならいっそ100歳を目指そうよ、と言っている。そして母のラストステージを最高に輝かせられるように、精一杯応援していきたい。ストレスをためず、肩の力を抜いて、たまには自分にご褒美の日も作りながら、どうせなら笑って笑って介護していきたいと思っている。


(千葉県・Y.D/女性)