愛の持つ厳しさ


幼い日に両手両足を病気で失いながら、七十二年 の生涯を立派に送られた中村久子さん(一八九七― 一九六八)は、自分が人生を全うすることができたのも、母親の慈愛にあふれた厳しいしつけのおかげであると感謝しています。「かわいがるだけの愛は、自分中心の愛です。人を育てる愛、人を生かし、人を立派に育て上げる英知を含んだ愛を、教師も親も心がけるべきでしょう。 中村さんのお母さんが「かわいそうだ」と、一切の世話をされていたら、中村さんはいつまでたっても 自分では何もできなかったでしょう。お母さんの厳しい”愛の鞭”のおかげで、中村さんは一人立ちし て、人生を生きていく勇気と力を持つことができた のです。


出典:ニューモラル 心を育てる言葉一日一話