仁恕の心を忘れない。


私たちは何を思うときでも、何を話すときでも、どんな行動をとるときでも、常に「思いやり」を込めて行わなければなりません。

一つひとつの思いやりの積み重ねによって自らの品性が磨かれ、やがては運命を拓くことにつながるのです。

誰でも思いやりの心を持っています。悲しんでいる人を見れば、胸が締めつけられ、慰めてあげたい気持ちになるはずです。困っている人に出会えば、何かできることをしてあげたいという気持ちが湧いてくるはずです。こうした思いやりの心は、より崇高な「慈悲心」への入り口であるといえます。

具体的には、身近なところから思いやりの心を注ぎ込んでいきましょう。まずは生み育ててくれた親に対して、今日までの苦労を思い、感謝し、満足を与えるように努力します。あるいは恩師や職場の上司など、お世話になった人々に対しても、その恩に報いていけるように努めます。そのほか同僚、友人、近隣の人々に対しても、 常に心を配り、思いやりを持って接していきましょう。日常のちょっとした挨拶の瞬間にも、短い会話の間にも、笑顔をたたえ、 優しく温かい心で接するのです。

思いやりが厚く、あわれみ深いことを「仁恕」といいます。仁恕の心で日々を過ごしていきたいものです。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選