一隅を照らす生き方


東洋思想の研究と後進の育成に努めた安岡正篤氏(一八九八〜一九八三)は、「暗黒を嘆くより、一つの灯火を掲げて一燈を付けましょう。我々はまず我々の周囲の暗を照らす一燈になりましょう。手のとどく限り、至る所に燈明を供えましょう。一人一燈なれば、萬人萬燈です。日本はたちまち明るくなりましょう」(『安岡正篤一日一言』致 知出版社)という言葉を残しています。

社会の現状を嘆くのではなく、自分自身が温かい心づかいを発揮して、自分の身近な「一隅」を照らす存在になること。これを一人ひとり、より多くの人々が実践すれば、無数の小さな光は、世の中を明るく照らす大きな力となります。さらには、そうした一人の真摯な取り組みが周囲の人々の心を動かして、同じ思いで実践を始めようとする仲間や協力者・支援者が現れてくることもあるでしょう。

(四九九号)


出典:ニューモラル-心を育てる言葉366日