すべての人が幸せになる経営


経営者と従業員とは、利害が相反するように思われている面があります。経営者が儲けるために従業員から搾取したり、従業員が悪条件の改善を迫ってストライキやサボタージュを行ったりする労働争議が、その象徴的なものといえるでしょう。
道徳的企業経営を実現するには、そのような状況から脱して、理想的な労使間の協調関係をつくっていかなければなりません。
すなわち、経営者は従業員の幸福を願い、十分な賃金を支払うとともに、従業員の品性を向上させるための道徳教育を行っていくのです。従業員からすれば、やりがいのある仕事をしながら給料を手にし、しかも自己の品性を高める教育をしてもらえることに、感謝と尊敬の念が湧いてくることでしょう。
経営者と従業員がお互いに品性を高め合っていくことで、労使が 一心同体となって働き、安心し、幸福を感じられるようになります。また、従業員が将来独立することがあれば、経営者はその人が立派に一人前にやっていけるように支援します。
経営者も従業員も、そして第三者も、すべての人が幸福になるような経営を志しましょう。途中の困難を乗り越えて、最後の勝利を得るのが道徳的経営というものです。努力の先に、大いなる幸福が訪れるのは間違いありません。


出典:「三方よし」の人間学廣池千九郎の教え105選