原因の追及よりも善後策を重視する


何か問題が起きたとき、私たちはどのような態度で、どのように 対応していくべきなのでしょうか。
多くの人が原因を究明し、問題を起こした人間の責任を追及しよ うとするでしょう。もちろん再発防止のためには、原因をはっきりさせておくことも、責任の所在を明確にしておくことも必要です。しかし、そのことによっていくら責任者を責めても、あるいは自ら の正しさを主張し続けても、起きてしまった問題を解決することは できません。むしろ人間関係の悪化を招くことになってしまうのは明らかです。 「過去にさかのぼって水かけ論を繰り返すよりも、起きてしまった 出来事を正面から受け止めて、いかに善後策を図っていくかに集中するほうが大切です。起きた問題は自分たちに与えられた「道徳的 課題」であると考え、これに感謝し、積極的に責任を担っていくの です。たとえ自分に直接的な責任がなくても、その問題に関わることに なったのは、日頃の心づかいや行いに反省すべき点があったのだと 認めます。そのうえで平和的に解決するように努力するのです。自 ら犠牲を払う覚悟を決め、相手の幸福を願って対応すれば、事態は 建設的な方向に向かっていくことでしょう。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選