秘密やプライバシーを守る


誰にでも、さまざまな事情で人に知られては困るような秘密・プライバシーというものがあります。身内でも他人でも、自分以外の人の重大な秘密やプライバシーを知ってしまった場合、これを無断で誰かに話すことは厳に慎まなければなりません。それが人に対し て誠を尽くすということです。
自分自身についても、他人に知らせるべきでない重大事に関しては、「お墓まで持っていく覚悟」を決めねばなりません。 例外として、めったにあることではありませんが、証人として裁判所に赴いたときには、法的に供述しなければならない義務が生じます。その場合は、他人の重大な秘密であっても話さなければならなくなります。しかしそれすらも、一定の要件を満たせば、日本の法律では証言を拒むことができるとされています。 (ところが世の中には、他人の秘密やプライバシーをペラペラと話してしまう人がいます。道徳的に鑑みれば、その人は精神の成長度 合いが低いといわざるを得ません。正義に対する意識も低く、秘密 をあばかれる人への思いやりも欠けています。
もちろん、話しても何ら問題が発生しない内容ならば、話し方に気をつけて伝えても構わないでしょう。誰もが何も話さなくなったら、それはそれで社会生活に不備をきたすからです。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選