同じ言動でも結果が異なる


仮にAさんとBさんという人がいたとします。Aさんはごく一般的な生活をし、特に道徳的な生き方に関心を持っていません。Bさんは、諸聖人の遺した教えから道徳を学び、日頃からこれを実践し ようと誠心誠意努めていました。

それぞれ、かつてお世話になった目上の人物が病気で入院したため、お見舞いに行くことにしました。AさんもBさんも、きちんと常識に則った形で、表向きはまったく同じように過不足のないお見舞いをしました。

しかし、Aさんのお見舞いとBさんのお見舞いとの間には、大き な違いがあります。それはお見舞いに臨む際の目的です。

Aさんは、相手を気づかう言葉を述べながらも、心の奥では相手 の歓心を得て、後々自分に何らかの利益があることを期待していま した。そのためどこか言葉が上滑りをしています。

これに対してBさんは、病で弱っている相手に対して、心の底から救いたいという気持ちで話しました。そのため同じ言葉を使っていても、一言一言に慈悲の心が込められていたのです。

見舞った相手にそれが伝わるときもあれば、伝わらないときもあ るでしょう。しかし、少なくともBさんの品性は高まり、徳が積まれ、幸せな人生に一歩近づいたことになります。


出典:「三方よし」の人間学