知識や感情を超えて


私たちは、自らの日々の生活を省みて、誠実な生き方を志したなら、さらに次の段階では、そうした生き方を人に伝え、導くことで、その人の心を救っていけるように取り組まなければなりません。そうして自分自身の立場を超え、世のため人のために献身的に 生きる人を増やし続けることができれば、世界は少しずつでも平和に近づいていくと考えられるからです。

こうした生き方や考え方を人に伝える際には、どのような動機をもとに、どのような態度で接していくかが重要となります。

人によっては、さまざまな教えを学んで得た「知識」を、まるでひけらかすように話したりする場合があります。単に道徳を理論的に説明しようとするだけの人もいます。相手のことが感情的に許せないとか、自分の利害に関わるからという理由で、自分にとって都合のよい人間になってもらおうとして教え諭す人もいるかもしれません。しかし、それらはいずれも道徳を伝えようとする動機そのものが間違っています。

そうしたときは純粋に相手に幸せな人生を送ってほしい、悩み苦しみを乗り越えてほしいという慈悲の心から出発することが大切です。深い慈しみの心があるからこそ、相手も自然とこれを感じ取り、その心を本当に救うことにつながるのです。


出典:「三方よし」の人間学