恩恵に気づく喜び


先を急いでいるとき、エレベーターにかかった「定期点検中」の札を見るとまったく、こんなときに、という思いが湧き起こってくるかもしれません。それでもふだんエレベーターを安全に使えるのは、整備をしてくれる人がいればこそなのです。 私たちには、ふだん見ているものの中にも「見えていないこと」があります。
ふだんの生活が「当たり前」に送れるものと思っていたり、自分は人よりも一生懸命に仕事をしていると思っていたりすると、身近な相手や周りの一人ひとりが持つ大切な役割や尊い努力などが見えにくくなるものです。
私たちが社会生活を送るうえでは、意識していなくても、なんらかの形で必ず他の人々から支えられています。そうした社会の恩恵に思いを向けることが、感謝と喜びのある生活を築いていく第一歩といえるのではないでしょうか。

(三九三号)


出典:ニューモラル-心を育てる言葉366日