天から与えられた試練


人生にはさまざまな苦難がつきものです。生きている限り、人間は迷い悩むものだともいわれています。

家庭内の不和、他人や社会とのあつれき、仕事上のトラブルなど、大なり小なり、私たちはいつも何らかの困難に直面しているものです。また、年代ごとに悩みの内容は変化していきます。青年期は理想と現実との隔たりに苦しみます。壮年期は社会的責任の重さにプレッシャーを感じます。高齢になると、体力や能力に限界を感じて苦悩し、不安に襲われます。

そんなとき、私たちは悲観したり、不平を抱いたり、自暴自棄に陥ったりしがちです。自分の欠点や過失を棚に上げて、誰かのせいにしたり、社会に責任を転嫁して、非難したり攻撃したりする人もいます。あるいは無気力、無関心になってしまう人もいますが、それでは状況は改善しませんし、何もよい結果は生まれません。

苦難に遭ったときは、私たちがより強く、より大きく成長していくために、天から与えられた試練であると考えてみてはどうでしょうか。どんな経験も自分の人生にとって、ゆくゆくはプラスになるのです。そう思って感謝して受け止めれば、苦しみではなくなっていくはずです。そして苦難を乗り越えたとき、一回り大きく、優しくなった自分を発見することでしょう。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選