正義を実現していく方法


おそらく世界中の多くの人々は、「正義」の実現に高い価値を見出し、それを目的として行動しているでしょう。たとえ不道徳な人であっても、表向きは正義を唱えているケースがあります。

不道徳な人は、いくら正義を唱えていても、動機や目的が不純ですから、他人と衝突し、人生を狂わせてしまうこともあるでしょう。ところが道徳的な人であっても、その道徳が習慣的なレベルにとどまっている場合、やはり他人と衝突してしまうことが多いものです。
「自分こそが正義だ」と信じて疑わないため、不正義に見えるものを決して許さず、打倒し、自分の正義を押し付けようとするからです。
そのため価値観が異なる人とは、どうしても理解し合えずにぶつかり合ってしまうのです。

諸聖人の教えに基づく最高レベルの道徳を身につけた人は、同じように正義の実現を願っていても、それを押し通して争ったりはしません。
慈悲の心で相手を包み込み、融和を図りながら、お互いに幸せになれる解決方法を見つけようと努力します。

ただし、そうした行動が誰にでも通用するわけではありません。相手が非常に悪質な場合、反対に自分が被害に見舞われてしまう可能性もあります。
時には法律に訴えて物事を解決しなければならない場合もあるということです。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選